2025年11月号



 

*粟村 政昭氏の著書「ジャズ・レコード・ブック」を読む。 連載
生前、ジャズ評論家の油井正一氏が、粟村政昭氏の「ジャズ・レコード・ブック」を世界最高の"ジャズ・レコードのガイド・ブック"として絶賛していた。ジャズ全般に渡るレコード・ガイド・ブックは例がない。1968年2月25日 第1刷発行、数年を経て2版〜3版と増補版が発売された。近年、多くのジャズ・ファンから再版の要請があり、一部の評論家やファンが尽力したが、再販は出来なかった状況があった。粟村氏が筆を起こしたのが1965年、58年の時を経て多くのファンの渇を癒すべく、ネットに依る復刻を思い至った。多くのジャズ・ファンや新たなジャズ・ファンの方々に、熟読玩味して頂けたらと思う。この著書は、雑誌「スイング・ジャーナル」1965年2月〜1967年8月まで連載された"ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード"に端を発し新たな人選の下、全面大改訂をほどこした書籍である。

今回「ジャズ・レコード・ブック」の前身の企画である、雑誌「スイング・ジャーナル」に、1965年2月〜1967年8月まで連載された、"ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード"に掲載された153名のアルバム紹介をまず読んで頂き、「ジャズ・レコード・ブック」に取り掛かることにしたいと思う。


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「 ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード 」

                        粟 村 政 昭

"ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード"は、雑誌「スイング・ジャーナル」1965年2月〜1967年8月まで連載された。最初の一年は編集部の人選であったが、1966年3月から粟村氏の人選に依る153名のレコード・ガイドである。

「某々のレコードは何を買うべきか」といった類の文章には年中お目にかかる様な気がするが、実際にレコードを購入するに当たって頼りになる内容のものは意外と少ない。その理由の第一は、撰択が甘くて最高点クラスのレコードと称するものがやたらと沢山並べられている場合が多いからだ。近頃の我国レコード市場は可成り乱戦気味だから、上手く立ち廻れば外国盤国内盤共に相当安い値段で購入することは出来る。しかし、千円、2千円の支出は我々の生活水準からみて、余程の金持ちでもない限り痛い事には変わりがない。そんな時に、これも良、あれも結構という大様な推薦のされ方をすると、全く腹が立つ。それに執筆者の中には妙にイキがって、ゲテ物レコードや道楽的な吹き込みを挙げる人もいるが、実際に身銭を切ってレコードを買うコレクターにとってこういう人々は明らかに敵である。そんな訳で、この稿を書くに当たってぼくは、推薦レコードは真に良いもの乃至は話題になったもののみにとどめ、出来るだけ少ない数のレコードを選出しておくことに決めた。勿論この他にも傑作佳作といわれるLPは沢山あるから、ファンの方はこの稿を一つの参考として、後は自分の好みに応じてコレクションの幅を拡げていかれるといいと思う。


第12回

<ジューン・クリスティ>
ケントンを離れてソロシンガーとして出発してからのジューンのLPが日米ともに軒並みに廃盤にされてしまったのは全く痛い。しかし独立後の彼女の最高傑作「SOMETHINGCOOL」が残されているのは不幸中の幸いであろう。「MISTY」や「JUNE’S GOT RHYTHM」もよかったが「SOMETHING」に比ると星一つは落ちる感じだった。それと今一つ、ケントン往時の傑作「ARTISTRY IN RHYTHM」の中に彼女のナンバーが四曲含まれているが、これらはクリスティのファンにとっては絶対に見落とせない作品だ。モダンな感覚を持ったニュー・シンガーとしてジューンが世の称讃を浴びたのは、独立後よりもむしろ彼女のケントン在籍時代であったからだ。「無情」や「柳よ泣いておくれ」を聴けば、アニタの高度のテクニックと初期のクリス・コナーの瑞々しさを折衷した様なジューンのフレッシュな魅力を伺い知ることができる。


<ケニー・クラーク>
モダン・ドラマーの開祖として知られるケニー・クラークの真価を伝えている名演は何か、と問われれば、僕はしばし首をかしげてしまう。なるほど彼はオフ・ビートを従来の基本リズムの枠から解放したユニークな先駆者だったが、ローチやブレイキーと並ぶドラマーかと言うとそうは思われぬ。彼のドラミングを聴いていて一番気になる点は、兎角リズムが単調に流れ易いということだ。但し、マイルスの「WALKIN’」(Prest.7057)に於ける彼は中々素晴らしく、表題曲のラストの盛り上げなどは大したものだ。MJQのオリジナル・メンバーとしての彼のプレイは「DJANGO」の中に聴かれるが、特にクラークの代表作とも思われない。SAVOYには、彼がリズム・セクションを勤めた録音が随分あるが、その中ではジョン・ラポータのアルトが聴ける「KLOOK’S CLIQUE」のプレイが良い出来だった。

<アート・テイタム>
テイタムのレコードについては2つの意見があって、昔の物を推す人とヴァーブに残された膨大なマラソン・レコーディングを最高とする人がある様だ。しかしテイタムという人はデビュー当時から文字通り巨人ぶりを謳われた人で、途中スランプに陥った為にレコード歴が二分された感があるが、彼の音楽の本質は変わる所はなかった。タイニー・グライムスとスラム・スチュアートを加えて結成された初期のトリオは音楽的にも商業的にも可成りの成功を収めたが、僕はスラムのソロにウンザリしているのであまり買う気になれない。矢張り彼は生まれながらの徹底したソロ・ピアニストであった様に思う。テイタムが本当に真価を発揮したのは、アフター・アワーのセッションであったと言うが、現在入手し得る私的パーティでの録音からは絶対的にその説を支持するだけの要素は見出し難い。初期のテイタムの傑作は「HERE’S ART」(Bruns.54004),「ART OF TATUM」(Dec.8715)の2枚に収録されているが、前者にはトリオの物が多い。ヴァーブのカタログから傑作を1枚だけ選ぶというのは至難の業だが、僕が全部のソロ・ピアノのLPから名演をセレクトして1枚にまとめた私案を日本グラモフォンに提出してあるから、テイタムの傑作を是非にと考える方は大いに洋楽課に働きかけてください。ヴァーブ時代の後半、グランツは手持ちのスイング系のヴェテラン達を次々にテイタムと組ませたが、ウェブスターとの演奏を除いては、ことごとくテイタムの傍若無人振りに圧倒された結果に終わっている。


<スタッフ・スミス>
スタッフ・スミスとはそも何者ぞや、と質問なさる若いファンの方もあろうが、オーネット・コールマンのまるで鋸の目立てを思わせる様な耳障りなヴァイオリンに無理に感激してみせる時間があったなら、一度はこのスミスのスイングの権化の如き驚異のヴァイオリン・ソロに耳を傾けていただきたい。コールマンのヴァイオリンというのは、メロディ楽器としてよりも、むしろサウンド・エフェクト的な役割の法に重点を置かれているから、大して感激もしないほうがまず正常な感覚であろう。スミスの傑作はスイング時代に録音されたものの他、ヴァーブに入れたピーターソンやガレスピーとの共演盤の出来が目覚ましかったが、これは今では廃盤になっており、現在入手できるものとしては「SWINGIIN’ STUFF」(EmArcy sre 66008)というコペンハーゲンでのライブ・アルバムが一枚だけである。但しこのレコードに対する評価は高く彼の最高傑作との呼び声が高い。



次回につづく (参考文献 東亜音楽社)


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<<< レコードプレーヤーの買い替え >>>
   
    スピーカーを替えアンプもアップグレードしたので、レコードプレーヤーもそろそろ替えたいと思っていました。そんなおり、テクニクスからダイレクトドライブ方式という、直接モーターで、回転数を制御するフォノモーターが発売され、理想的な駆動方式でSN比、ワウフタッターも高い性能でした。現在、ダイレクトドライブは比較的価格の安いプレーヤーに使われていますが、当時は画期的な方式で多くの人が購入していました。
昔や今も、特にジャズを中心に試聴する人は都市伝説のように、ガラードやYAMAHAが良いと薦める人が多くいましたが、私はガラードはリムドライブ方式で、劣化すればゴロもでるので、評判を気にしつつも購入の対象外でした。 丁度そんな時期に、秋葉原のD店の店長が、個人にSME3012を持っているので譲ってもよいとの話があり、最初のコンポを揃える時から、欲しかたので購入しました。アームとフォノモーターが決まったので、あとはカートリッジを決めることだけでした。1970年代はSHURE、Ortofonが人気でジャズを聴いている人はSHURE、クラシックはOrtofonという風潮がありました。このころはレコードプレーヤーを自分でフォノモータ、アーム、カートリッジを選び組み合わせて作る人も多く、秋葉原ではプレーヤーケースを制作し販売するお店があり、私も大きめのケースを買い、SP-10とSME3012の穴を開けてもらい、組み立てました。SP-10は質感が非常によく表面を厚いコーティングがされていて、電源のスイッチの押し込みも歯切れがよく、ストロボスコープを覗く窓があり、微調整のダイヤルが付いていました。カートリッジをV-15/3に変えて試聴したのですが音の違いに驚きを感じました。レンジが広くスッキリと靄がとれたように感じました。オーディオは替えるたびに、どんどん進化していくものとつくづく実感しました。
 暫くして秋葉原のS無線のショールムに行き、特に目的もなく製品を見ていたら店員の方が「どんなステレオを使っていますか?」と聞かれてので現状の構成を話しました。「3012では軽針圧のカートリッジは無理ですよ」と、SME3009シリーズ/3にした方が・・・考えてもいなかったので、ちょっとショックでした。結局シリーズ3を購入して、新しいボードにアーム2本つけられるよう変更しました。3009にType/3を付け、3012にはMCカートリッジが欲しかったので、DENONのDL103を買うことにし、トランスはFRのFRT-3を購入しました。DL103はV15に比べれば、そんなにワイドレンジではなく、中域に魅力を感じる音でジャズボーカルを聴くときにはDL103に切り替えて聴いていました。この時点では、そこそこ良いレコードプレーヤーが完成したと思っていましが、その後、どんどん新しいコンセプトのプレーヤーが発売され、驚くような高額な機種も出てる時代になりました。
 2024年に久しぶりにお茶の水のジャズ喫茶に行った時に、お客さん同士でプレーヤーの話をしていて、ガラードが良いと話していた人がいたのにはびっくりしました。ネットでも301,401が法外な価格で販売されていますので、いまだに購入する人がいることにも驚きました。

あかわらずその後も秋葉原に行って新しいオーディオの情報を見聞きしてました。
そんな時期、S無線で「もう単体では手に入りません」と言われ、ALTECの802-8Gドライバーを買ってしまいました。
 

           *** 次回はスピーカーの改造

 

                                                
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60年代以降活躍しているボーカリストを紹介します。

 たくさんのボーカリストがでています。この時代公式サイト、facebookなどで
 自身発信をしている人が多く時代はかわりました。
 

Gretchen Parlato  グレッチェン・パーラト

  1976年ロスで生まれ、2003年にはニューヨークで移り住んでいる。セロニアス・モンク・インターナシュナル・コンペティションの
ボーカル部門で1位になっている。2012年にはライヴ盤がでてその後の活躍で多くの賞を獲得している。スタンダート、ボサ・ノヴァ、ポップスなど
幅広いジャンルの歌を歌っている。ボサ・ノヴァはスタン・ゲッツとジルベルトの影響を受けた。
 
  発売CDの一部


 

 


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 2025年11月のアメリカ市場のレコード価格です。人気盤の一部を載せてみました。
日本国内でも再発新品が大量に発売されていますが価格が7,000円8,000円は適正価格になっています。 
アメリカでも40ドルが適正になっています。US盤を仕入れて販売するとこの値段になると思われます。  

            
 

 $41.99   $38.98  $40.00

 $38.98   $40.00  $40.00

   

 $40.0   $54.98  $39.98

 

 $38.98   $41.99  $39.98

 

 $38.98   $40.00  $41.99