2025年5月号



 

*粟村 政昭氏の著書「ジャズ・レコード・ブック」を読む。 連載
生前、ジャズ評論家の油井正一氏が、粟村政昭氏の「ジャズ・レコード・ブック」を世界最高の"ジャズ・レコードのガイド・ブック"として絶賛していた。ジャズ全般に渡るレコード・ガイド・ブックは例がない。1968年2月25日 第1刷発行、数年を経て2版〜3版と増補版が発売された。近年、多くのジャズ・ファンから再版の要請があり、一部の評論家やファンが尽力したが、再販は出来なかった状況があった。粟村氏が筆を起こしたのが1965年、58年の時を経て多くのファンの渇を癒すべく、ネットに依る復刻を思い至った。多くのジャズ・ファンや新たなジャズ・ファンの方々に、熟読玩味して頂けたらと思う。この著書は、雑誌「スイング・ジャーナル」1965年2月〜1967年8月まで連載された"ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード"に端を発し新たな人選の下、全面大改訂をほどこした書籍である。

今回「ジャズ・レコード・ブック」の前身の企画である、雑誌「スイング・ジャーナル」に、1965年2月〜1967年8月まで連載された、"ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード"に掲載された153名のアルバム紹介をまず読んで頂き、「ジャズ・レコード・ブック」に取り掛かることにしたいと思う。


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「 ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード 」

                        粟 村 政 昭

"ベスト・プレイャーズ / ベスト・レコード"は、雑誌「スイング・ジャーナル」1965年2月〜1967年8月まで連載された。最初の一年は編集部の人選であったが、1966年3月から粟村氏の人選に依る153名のレコード・ガイドである。

「某々のレコードは何を買うべきか」といった類の文章には年中お目にかかる様な気がするが、実際にレコードを購入するに当たって頼りになる内容のものは意外と少ない。その理由の第一は、撰択が甘くて最高点クラスのレコードと称するものがやたらと沢山並べられている場合が多いからだ。近頃の我国レコード市場は可成り乱戦気味だから、上手く立ち廻れば外国盤国内盤共に相当安い値段で購入することは出来る。しかし、千円、2千円の支出は我々の生活水準からみて、余程の金持ちでもない限り痛い事には変わりがない。そんな時に、これも良、あれも結構という大様な推薦のされ方をすると、全く腹が立つ。それに執筆者の中には妙にイキがって、ゲテ物レコードや道楽的な吹き込みを挙げる人もいるが、実際に身銭を切ってレコードを買うコレクターにとってこういう人々は明らかに敵である。そんな訳で、この稿を書くに当たってぼくは、推薦レコードは真に良いもの乃至は話題になったもののみにとどめ、出来るだけ少ない数のレコードを選出しておくことに決めた。勿論この他にも傑作佳作といわれるLPは沢山あるから、ファンの方はこの稿を一つの参考として、後は自分の好みに応じてコレクションの幅を拡げていかれるといいと思う。


第9回

<カーメン・マクレエ>
カーメン・マクレエの唄が一番充実していたのはカップ時代であつたと僕は思う。その頃の傑作を集めた「ベスト・オブ・マクレエ」(kp7076)は伴奏もヴァラエティにとんでいるし大橋巨泉さんの選曲も良くて文字通り彼女のベストLPと称して看板に偽りない。レコード会社が「ベスト・オブ…..」なるタイトルのLPを編集すると時はおおむね一丁上がり式の選曲で傑作の間に凡作の混ざっている味気のないオムニバスである事が多いが、やはりこういったものは選曲者の名前をはっきりさせた責任の所在の明らかなものであって欲しいと僕は思う。デッカ時代の作品の中では「AFTERGLOW」(Dec 8583)を僕は推す。少々アクの強いきらいはるが彼女のピアノ・ソロも聴ける傑作盤である。「By Special Request」(Dec. 8173)がこれに次ぐ。「Carmen for Cool Ones」(Dec.8738)はフレッド・カッツのアレンジが斬新というよりはノヴェルティ風なものに僕の耳には聞こえる。ベッレヘムより出たデビユー盤は金属的な声をよく抑えた素直な唱法で誠に見事な出来栄えだったが、日本で十吋盤として出された時にはエコーがつけられていて嫌な感じに再生されていた。歌といわず楽器といわず、ジャズの録音というのはシャープにとられている時が最も好ましい感じであって、疑似ステレオを筆頭にエコー処理を施したレコードというのは作品に対する感興をそぐことおびただしい。最近の作品では「ビター・スイート」が一番好評だった。


<ルイ・アームストロング>
フレッチャー・ヘンダーソンやデューク・エリントンの再発物がどしどし世に出る現状にあって、米コロンビアに残されたARMSTRONG STORY全四枚の傑作が未だにわが国で日の目を見ないのを全くぼくは遺憾に思う。或はこれまでに抜粋物を余り出しすぎた関係で完全な物の販売が遅れているかもしれないが、27,28年をピークとしたホット・ファイブ、ホット・セブンの熱演を納めたこれらのLPは、ひとりルイの傑作のみならずジャズ史上に輝く不滅の名盤である。一枚ずつ購入しょうとするファンには、ハインズと組んだVOL.3を筆頭に、VOL.2の「HOT SEVEN」,VOL.1の「HOT FIVE」の順で買われることをお勧めする。戦後のオールスターズ時代のものでは、音が少し悪いがティーガーデンとの絶妙なコンビネーションが聴かれる「TOWN HALL CONCERT」(VIC.LPM-1433)が素晴らしく、「W.Cハンデイ集」は録音も良く、ルイの歌が最高の出来栄えである。これらに続くものとしてはデッカの「シンフォニイ・ホール」(Dec.JDL5016/17)とルイのオーケストラ最高のメンバーを揃えて居た頃のスタジオ録音「N.O.NIGHTS」(Dec.8329),「ON STAGE」(Dec.8330)が傑作だ。


<ギル・エバンス>
独特のカラーを持った偉大なる編曲者ギル・エバンスは今やジャズ・シーンに不動の地位を打ち立てたかに思われる。固定したバンドを持たず、楽器奏者としても抜群ではない一アレンジャーが、これ程高い評価を受けたという事実はジャズ史上にも他に例を見ないのではなかろうか。勿論こうしたギルの名声は一朝一夕にして得られたものでは更にない。クロード・ソーンヒル楽団の専任アレンジャーとしての時代から、マイルスの歴史的な「クールの誕生」のセッションに参加し、長い起伏時代を経て「MILES AHEAD」での成功を勝ち取るまで、彼の辿った道はコマーシャリズムに遂に毒される事のなかった信念ある芸術家としての苦難のみちであった。彼の代表作としては、マイルスと組んだ「マイルス・アヘッド」(COL YS304)も勿論良いが、彼が一時期実際に率いたバンドに依る「OUTOF THE COOL」と異色作「IN TO THE HOT」を組した「ギル・エバンスの全貌」を僕はあげたいと思う。「スペインのスケッチ」におけるマイルスの良さというのは僕には未だ良く解らない。むしろプレスティジ「モダン・アレンジ究明」や「AMERICA’S NO 1 ARRANGER」(P.J.28)が素晴らしい。


<アニタ・オディ>
白人の最高女性シンガー、アニタ・オディは、ジーン・クルーパ楽団の専属歌手として名をあげ、スタン・ケントンのバンドに加わった後、ソロ・シンガーとして独立した。一頃麻薬の為に調子を落としたが、ノーマン・グランツの手によってレコード界に復帰してからは文字通り快打の連発で、ヴァーブに吹き込まれた初期のLPはことごとく批評家の絶賛を博した。中でも素晴らしいのが「ジス・イズ・アニタ」と廃盤となった「SINGS THE MOST」の二枚で、これに次いでは「AT Mr. KELLY’S」,「PICK YOURSELF」,「AN EVENING WITH ANITA」,「シングス・ザ・ウィナーズ」が傑作であった。アニタの欠点は、声に甘さが無さ過ぎること、音域の狭いこと、音程がフラットし易い事、歌詞を余り大切にしないことなどだが、彼女の持つ天衣無縫のジャズ・フィーリングと抜群無比のテクニックがこれらを補って余りある。シンガーによっては伴奏の編成が変わると真価を発揮できない人もあるが、アニタの場合はバックがフルであれコンボであれ、そんなことは一切無関係。音程の問題も人生に於ける音楽というものの存在意義を考えると、大部分の人が不快と感じない程度の乱れは問題にするには当たらないと、僕は考えている。


< エデイ・サウス >
ジャズ史上最高のヴァイオリン奏者と言えば僕は断然エディ・サウスの名を指して憚らぬ。サウスのプレイには彼の最も良きライバルであったスタッフ・スミスの持つ荒らしさの魅力と言うものは無かったが、楽器本来の音色を生かした優雅で均整のとれた彼のソロは、彼もまたジャズ史上最高のインプロバイザーの一人であることを物語っていた。サウスの代表作は30年代末期に渡欧してジャンゴ・ラインハルトやステファン・グラッペリーと共演して吹き込んだ数々の名演は、「DJANGO VOL.4」(Pathe FELP-181)の中に再録されて市場出ている。一聴「鋸の目立て」風のコールマンのソロに比して、エディ・「ダーク・エンジェル」・サウスのヴァイオリンのいかに美しくいかに詩情に富んでいたことか。


次回につづく (参考文献 東亜音楽社)


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<<< クラシックも聴きたい FMチューナーとオープンデッキ>>>
   
    ジャズもインストからヴォーカルまでレコードを買いオリジナル盤にこだわることなく、外盤で手にはいらないアルバムは国内盤でより多く聴こうと考えていました。暫くの間はジャズを集中して聴いていました。クラシックも聴きたくなったのですが、レコードを購入するのはジャズだけで手一杯で、FM放送で聴こうと思ったわけです。まだFMチューナーを持っていなかったので購入することにしました。当時は関東地区ではFM放送は2局だけ受信でき、FM東海の実験放送(後のM東京)とNHKの放送でした。
 今回はオープンリールデッキとチューナーを購入して、FM番組を録音し聴くこを考えていました。FMチューナはSONYのST-5150とYAMAHAのCR−400とワンランク安いTRIOのFX46に絞り、SONYとYAMAHAはトランジスターでTRIOより特性などは良かったのですが、オープンリールデッキの購入も考えていたので、価格を優先しTRIOのチューナーにしました。今までのようにT字アンテナはさすがに使えないので、近所の材木屋から丸太を購入し八木アンテナの5素子を庭に立てましたが、想像より大きく2帖くらいはあり、アンテナの方向を東京のNHKか横浜のNHKに合わせるか迷ったのですが、FM東海の受信を考慮すると東京の方角に合わせました。 アンテナからは同軸ケーブルを引き込み受信レベルはMAX近くを指し感度は期待したとおりでした。
当時、FM番組の情報を扱っている雑誌が、FMfan、週刊FM、FMステーション、FMレコパルなどが出版されていてMFfanはジャズやクラシック中心の情報を扱っていて、番組のスケジュールのほか、オーディオの記事なども載せていたのでそれも楽しみでかなり長い期間購読していました。
 FMは中波より音質が良くステレオ放送にも対応しており、これに影響?されたのか中波の放送で文化放送と日本放送2局で、ステレオの放送をながしていた事があり、同じ曲を同時進行で左チャンネルを文化放送、右チャンネルを日本放送の様な形式で番組を放送していました。
 FMは音質が良いので、当然音楽番組を中心にした構成になっていてポップス、ロック、歌謡曲、ジャズ、クラシックなどの番組を放送しており、NHKはジャズよりクラシック番組の方が多かったと記憶してます。会社勤めなのでなかなか決まった時間には聴けないので、録音するために購入を決めていたオープンリールデッキをどのメーカーにするか、候補としてAKAIとSONYの2社にしぼり検討しましたが、今考えればTEACを候補にしなかったのが不思議です。AKAIのGXヘッドの事は気になっていたのですが従来のヘッドとの効果の違いはわからなかったので、結局はSONYのブランドに気持ちが傾きTC-6635とタイマー PT-60を購入しました。7号のテープを5巻購入して番組の録音を始め、かなり頻繁にエアーチェックをしてたので、すぐに5巻あったテープも使いきり、暫く聴かない曲を消してテープに上書することになったわけです。
 最初のうちは録音する手間も楽しんでいましたが、だんだん時間と録音済みのテープの管理が大変になってきてしまい、録音しないで直接FMチューナーで聴くことが多くなりました。 それから4,5年してナカミチの581Zを購入し、オープンデッキで録音したものからカセットにダビングしカセットケースにラベルをつけ、聴きたい曲をすぐに取り出せるようになりクラシックも聴きたいときに聴けるようになりました。
 ジャズを車でも聴きたくてボーカルのテープを作ろうと、レコードから4曲ぐらい選び、オープンデッキに100曲ぐらい録音してカセットにダビングし、この時はオープンデッキが非常に役にたち、カセットデッキに直接録音するより編集しやすく手直しの手間もがかりませんでした。その後もレコードからのダビングは、オープンデッキからカセットへと、このパターンが続きましたがそれ以降はあまりオープンデッキを使う機会がなくなってしまいました。ナカミチはカセットデッキのメーカーとして一時代を築き、1000ZXLは1980年に550,000円で発売されこの価格は衝撃的でした。
 購入した581Zはアジマス調整やクロームテープ対応でドルビーB、Cタイプも搭載していて、NHK-FMでスタジオから生のジャズ演奏が放送され、それをカセットデッキに直接エアーチェックして視聴したのですが、カセットデッキのクオリティーに感動したものです。
 FMチューナは価格で購入したのでいつかは性能の良いチューナーをと思っていました。デジタルを全面にだした製品が増えSONYのシンセサイザーチューナーSTJ-75はバリコンなしのチューナーで、選局も周波数ボタンを押せばよい作りになっていてしばらくは使っていました。 最後はKENWOODのL-01Tにしデザインと機能が素晴らしくチューニングするつまみに触ると前面のパネルにあかりが光る仕様になっていて高級感がはんぱない製品でした。オープンデッキもTEACのX-10Rに切り替え10号リールと38cmの音を体験したく購入しました。 

    *** 次回はスピーカーを替えたい JBLかALTEC?

 

                                                
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60年代以降活躍しているボーカリストを紹介します。

 たくさんのボーカリストがでています。この時代公式サイト、facebookなどで
 自身発信をしている人が多く時代はかわりました。
 
Cathrine Legardh キャサリン・レガール

デンマークのシンガーでジャズのスタンダードを唄いスタイルもクール、ビバップを唄います。2011年にデンマークの音楽賞ジャズアルバム・オブ・ザ・イヤーやアイルランドの音楽賞ジャズアルバム・オブ・ザ・イヤーにもミネートされてました。もともとは音楽教師からジャズシンガーにイギリスやアメリカで研鑽を積み歌手に転身しています。バラードもスウインギーな曲も唄える歌手でStoryvilleからもCDが発売されている。
 
  発売CDの一部