トラディショナルジャズへの誘い

 「ジャズの面白さはスタイルの発展にある」とは、ベーレントの著書「ジャズ」の冒頭の言葉である。ジャズファンの八割強がモダンのインストルメンタルや女性ボーカルを中心とした特定の分野のファンであるのだろう。出来れば、好みは好みとしてジャズの様々なスタイルを楽しみたいものである。 
 昔、水道橋に「SWING」というジャズ喫茶があった。トラッドとスウイングしかかからない店、そこでトラッドジャズの楽しさを知った。合わせて、ジャズ全般を聴く友人から関西のトラッド・グループ“ニューオリンズ・ラスカルズ”を教えてもらった。そのアルバム「ニューオリンズ・ラスカルズ・ウィズ・アルトン・パーネル」(フィリップス)はラスカルズの本拠地大阪“サントリー5”にてG・ルイスのグループピアニストとして著名なアルトン・パーネルを迎えてのセッション、「ドクタージャズ」からラストナンバーの「世界は日の出を待っている」までの二枚組を一気に聴いてしまう。ライブ特有の臨場感溢れていてレコードだがライブで洗礼を受けたような気持ちになった。本場ニューオリンズでもこれだけ正統的なニューオリンズスタイルを踏襲するグループはなく継続的にニューオリンズを訪れコンサートを行ってきて、メンバー全員はニューオリンズ州の名誉市民となっている徹底ぶり。一度ライブで接したいと思っているが、残念ながら未だはたせないでいる。また新しいCDも漸次発表さている。
 レコードによるトラッドジャズへの誘いはジャズの核、芸能期のジャズを知ることでもある。オール・タイム・グレートと呼ばれるミュージシャン、ルイ・アームストロング、デューク・エリントン、レスター・ヤングの好きなアルバムを紹介しておきたい。

◎ ルイ・アームストロングは、OK原盤のホットファイブ、ホットセブンの諸作がやはり白眉。特に国内盤で言えば東芝“ヒズ・グレイテスト・イヤーズVOL.3”ハインズとのコラボレーションがいつ聴いても感動させられる。

◎ デューク・エリントン、様々な録音があるがやはり自身のオーケストラ作品。70歳のバースデイライブ、ソリッドステートの二枚組を挙げておきた。エリントンミュージック秀逸なサイドメン達の素晴らしいソロとアンサンブル、まさに円熟した味わい深い作品。

◎ レスター・ヤングは、やはりコモドア盤カンサスシティファイブ、最盛期の録音を収めた独特なクラリネットが十分聴けるのもうれしい限りである。

 他にもビックス・バイダーベック、フレチャー・ヘンダーソン、ベニー・グットマン、アール・ハインズ、コールマン・ホーキンス、テディ・ウイルソン、カウント・ベイシー、ジョニー・ドッズ、ファッツ・ウォラーと言った著名なスタイリスト達いるわけで、トラディショナル・ジャズの世界は、多種多様なミュージシャン及びグループが百花繚乱的な様相を帯び尽きない楽しさに溢れている。


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