第28回メールマガジン

一回~のメルマガ掲載 不定期ながらミニ情報やまだ楽しめるジャズの話などを皆様にお話しできたらと思っております。
また、これからジャズを聴きたいがどれから始めたらと迷っている方
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 2018年9月14日 JAZZCAT-RECORD メールマガジン 第28回

【今月の一冊】

「ジャズ1930年代」 レックス・スチュワート著
             村松 潔 訳 草思社 1990

   マーティン・ウィリアムス監修の年代別シリーズの一冊。レックス・スチュワート( 1907 - 1967 )はコルネット奏者として20年代にプロ入りフレッチャー・ヘンダーソン楽団~マッキニー・コットンピッカーズに在籍、30~40年代にかけてはエリントン楽団で活躍、ルイとビックスの影響を受けハーブ・バルブ奏法をに依るユニークな個性を発揮していたミュージシャン。
  晩年になって各誌に寄稿 - ダウン・ビート~エヴァ―グリーン・レビュー~ミュージック・メイカー~メロディ・メイカーに掲載されたものを著者没後まとめられたものである。内容は次の様になっている。

*ジャン・ゴールドケット楽団
*フレッチャー・ヘンダーソンの思い出
*レコーディング・ビジネス
*ルイ・アームストロング / ボーイ・ミーツ・キング
*ジミー・ハリソン / スイング・トロンボーンの父
*コールマン・ホーキンス / テナー・サックスの父
*レッド・ノーヴォ / ある開拓者の物語
*エリントン王国
*カッティング・セッション
*ジョン・カービー / やさしく流れよ、あまいリズムよ
*シドニー・カトレット / わが相棒、ビック・シド
*私の見たベニー・カーター
*天才について思うこと / アート・テイタム


  アメリカでも日本でもほとんど忘れ去られている存在の
ジャン・ゴールドケット楽団。20年代後半フレッチャー・ヘンダーソン楽団をしのぐジャズ史上初の独創的な白人スイング・バンドの際立った活動の記述とその再評価を促している。その録音はコロンビアのビックス・バイダーべック、イタリアのBIXOLOGY等で聴くことが出来る。ビック・バンド・ジャズはフレッチャー・ヘンダーソン楽団とともに始まったと言われる。
  20年代~30年代ににかけてスイング時代の楽士の需要によって一流の多くのミュージシャンが去来、結果ジャズ・ファンの興味を今日まで持続させる魅力がある。ここではヘンダーソンとエリントンの共通点として、ピアノをひとつのオーケストラとして捉えていたファッツ・ウォーラーに影響を受けた記述が興味深い。
カッティング・セッションとはミュージシャン同士の他流試合、ジェリー・ロール・モートンとウィリー・ザ・ライオン・スミスの戦いは決着がつかずジェームス・P・ジョンソンが登場してジェリー・ロールを圧倒した記述。
  ヨーロッパからハーレムに戻ったホーキンスがレスターをビリーの目前で一蹴するエピソード。トロンボーンをソロ楽器としてトランペットやサックスと同じ地位に引き上げた功績のある
ジミー・ハリソン。そのレコードは初期のフレッチャー・ヘンダーソン楽団やチャーリー・ジョンソンの「20年代のハーレム・ジャズ」などの録音があるが、30歳で亡くなったことに依る録音の少なさが過小評価に甘んじている現況がある。
  その他ヘンダーソン時代のルイ・アームストロング~レッド・ノーヴォとミルドレッド・ベイリーとアレンジャーエディ・ソーターの関係性~独創の権化エリントン~トリッキー・サムと呼ばれるジョー・ナントンの親近感に満ちた記述~バニー・ビガード、ベン・ウェブスター、ハリー・カーネイの様々なエピソード、そのほか室内楽ジャズを標榜するジョン・カービーの出生までさかのぼっての詳細な記述~最高のドラマーシドニー・カトレット~ベニー・カーター~天才アート・テイタムなど興味深い人選に依る記述は、それぞれの録音と接する折により深い理解を促してくれるに違いない。特に古典ジャズのファンには不可欠な一冊である。

 【あの頃のジャズが聴きたい】

  今月はレックス・スチャートの名著「ジャズ1930年代」を紹介させてもらった事に依って、久しぶりに聴きたくなったアルバムがある。RCA VICTOR VINTAGE SERIESの一枚"THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE / Johnny Hodges and Rex Stewart"である。デューク・エリントン楽団のピックアップメンバーに依るレコーディング・セッション。
 A面ジョニー・ホッジス B面がレックス・スチャート。メンバーはTP)REX STEWART,TS)BEN WEBSTER,BS)HARRY CARNEY,TB)LAWRENCE BROWN,P)DUKE ELLINGTON,B)JIMMY BLANTON,D)SONNY GREER
 エリントンバンドの縮少版的内容でレックス~ホッジスともども最高の演奏がカップリングされていると同時に、ジミー・ブラントンの素晴らしいベースワークを聞かせている名盤である。

【ジャケット・ギャラリー】

 MILES DAVIS / SKETCHES OF SPAIN CBS S 62327 France

 50~80年代とモダンジャズの形成~発展期のトップランナーとして長きに渡ってジャズシーンを牽引してきたマイルス・デイビス。オリジナル・ジャケットはどれも見慣れたものばかりで、特に愛着の沸くものはないがフランスCBS盤"SKETCHES OF SPAIN"のジャケット、良い雰囲気が出ている。想像するに、パリの著名なコンサート会場でのファースト・セットが終了、その演奏を反芻しながら達成感と次のステージに向けての意欲が垣間見える束の間の休息...手に挟んだ煙草も"動くアクセサリー"としての役割を十分発揮している。
【ジャズ・クラッシックス】

    戦後間もない1950年日本コロンビアがSP12枚に依る「ジャズの歴史」は国内のみならず海外にも大きな反響を呼んだ。日本のジャズ・レコード発売上画期的な役割を果たす,と同時に世界的な再発ブームを促がすこととなった。
 2回目のLP化に際して、当初のSP12枚はそのままにLP 1~2枚目A面に24曲収め後はマイルス~ミンガス~ブルーベック~モンク各1曲ずつ収めている。LP3枚目はヴァーヴ・レーベルからパーカー~テイタム~J.A.T.P~ゲッツ~ステット~M.J.Q~ピーターソン~ロリンズと言った内容。
 何といってもSP24枚の音源に尽きる。温故知新SP盤を聴く様な間合いをもって、これらの名演に浸ってみたい。

O1,DARKTOWN STRUTTER'S RAG /ORIGINAL DIZIELAND JAZZ BAND

O2,HIGH SOCIETY RAG / KING OLIVER'S JAZZ BAND

03,ECERYBODY LOCES MY BABY / CLARENCE WILLIANS' BLUE FIVE

04,GOLDEN LEAF STRUT /ORIGINAL NEW ORLEANS RHYTHM KINGS

05,YELLOW DOG BLUES /BESSIE SMITH

06,SUGER FOOT STOMP / FLETCHER HENDERSON AND HIS ORCHESTRA

07,HEEBIE JEEBIES / LOUIS ARMSTRONG AND HIS HOT FIVE

08,POTATO NEAD BLUES / LOUIS ARMSTRONG AND HIS HOT

09,JAZZ ME BLUES /BIX BEIDERBECK AND HIS ORCHESTRA

10,SUGAR / McKENZIE AND CONDON'S CHICAGOANS

11,THE MOOCHE / DUKE ELLINGTON AND HIS ORCHESTRA

12,HONKY TONK TRAIN BLUES / MEAS"LUX"LEWIS

13,DEE BLUES / THE CHOCOLATED DANDIES

14,BASIN STREET BLUES / THE CHARLESTON CHASERS

15,DALLAS BLUES / TED LEWIS AND HIS BAND

16,CHANT OF THE WEED / DON REDMAN AND HIS ORCHESTRA

17,BLUES IN E FLAT / RED NORVO AND HIS OCTET

18,WHAT A LITTLE MOONLIGHT CAN DO / TEDDY WILLSON

19,DOWN SOUTH CAMP MEETIN' / BENNY GOODMAN AND HIS ORCHESTRA

20,LESTER LEAPS IN / COUNT BASIE' KANSAS CITY SEVEN

21,UPTOWN BLUES / JIMMIE LUNCEFORD AND HIS ORCHESTRA

22,SHIVERS / BENNY GOODMAN SEXTET

23,APPLE HONEY /WOODY HERMAN AND HIS ORCHESTRA

24,DOUBLE DATE / METRONOME ALL STARS

【今月の日本人演奏家】
 
  吉田 賢一 (1950/1/5~)
 
   過って首都圏の主要ホテルのラウンジにはピアノやギターのソロ~デュオ~トリオなどのフォーマットで専属ミュージシャンに依るライブがフィメール・ボーカル共々楽しめた。過去の記憶を暫し辿ってみたい。「帝国ホテル」では80年代フランスはボルドー生まれのピアニスト、ピエール・ブゾンがジャズではないが極めて明晰なピアノサウンドによって、偶然出会ったオーディオ・ラボのオーナーで録音エンジニア菅野沖彦氏の耳にとまり、二枚組のピアノ・バラード・アルバム"LA VIE"として結実、ジャンルを超えた多くのピアノ・ファンを魅了した。
  赤坂山王ホテルでは森本洋子が池袋メトロポリタンホテル最上階のスカイ・ラウンジ"アポロ"ではベーシスト伊藤潮を中心としたピアノ・デュオにボーカルが加わった内容であった。芝白金台のシェラトン都ホテル東京は、緑に包まれた静寂な佇まいが癒されるラウンジ・バンブー。そこではベーシスト遠山晃司とジャズギタリストが日替わりでデュオが楽しめた。そして、名門ホテル「オークラ」で20年近く専属ピアノトリオ"オオクラ・トリオ"を率いていたのがジャズピアニスト吉田賢一である。
  サイドメンにベース成重幸紀、ドラムス野口廸生のメンバー。スターライト・ラウンジでのこのトリオをこよなく愛するファン達の協力の下、自主製作アルバムにしての初リ―ダー作が"THE SHADOW OF YOUR SMILE / KENNICHI YOSHIDA PIANO TRIO"である。2005年赤坂工芸音研から二枚目のピアノトリオ"STARDUST"をリリース、B)山村隆一,D)木村由紀夫にメンバーが変わっている。2016年三枚目のアルバム"MY ROMANCE"を同メンバーでリリース。近年フリーになって、今後どんな活動をしてくれるのか大いに楽しみである。

 
【TRIBUTE TO SOMEONE】
 
  RANDY WESTON (1926/4/6 ~ 2018/9/1) )

 セロニアス・モンクを筆頭にエリントン~テイタム~ハインズなどジャズの伝統を生かしながらピアノ奏法と作曲家としての両面で独自の個性を発揮したランディ・ウエストン。 
 60年代後半からはアフリカに関心を示した作品が多くなり、その集大成的なアルバム"THE SPIRITS OF OUR ANCESTORS"はジャズシーンに大きな話題を提供した。此処では59年ホーキンスやドーハムを迎えた、ファイブ・スポットでのライブを収めたアルバム"RANDY WESTON LIVE AT THE FIVESPOT"とアフリカへの関心への端緒となった"AFRICAN COOKBOOK"レギュラー・メンバーに依る力演で往時の偉業を偲んでみたい。

【隠れた名演奏】

 MEL POWELL SEPTET VANGUARD 1953/12/30

 メル・パウエルはヴァンガード・レーベルにセプステットに依る"'S WONDERFUL"の名演がある。同レーベルには10吋4枚のリーダー作があるが、それらは過去2回オムニバス形式で発売された。 70年代の「メル・パウエル スペシャル」の国内盤には選曲されたが、二回目の再発では収録されなかった。90年代になってようやくオリジナル盤に準拠した再発が実現し、ジヤケットもオリジナルで統一されて漸く、"'S WONDERFUL"の名演に接する事が可能になった。
 セプテットのメンバーは次の通りCL)EDMOND HALL,
TP)BUCK CLAYTON,TB)HENDERSON CHAMBERS,G)STEVE JORDAN,B)WALTER PAGE,P)MEL POWELL,D)JIMMY CEAWFORD。エリントン~ベイシー~クレイトンのグループで活動していたアンダーレイテッドなヘンダーソン・チェンバースの参加が嬉しい。

【あの頃のバンド・シンガー】
 
 サラ・ヴォ―ン (1924/3/27 ~ 1990/4/3)

  1942年18歳になったばかりのサラはその年の4月アポロ劇場アマチュア・コンテストで「ボディ・アンド・ソウル」を歌って入賞し、ビリー・エクスタインに認められ、アール・ハインズ楽団にピアニスト兼ボーカリストとしてスタートしたのが出発点であった。
 45年ソロ歌手として独立ミュージックラフト・レーベルからパブロ・レーベルに至る40年以上のレコーディング実績がありリダー作~参加したアルバムは80枚以上もあり、ジャズ・ヴォーカルを越えたヴォーカリストと言われれ所以だと思われる。
 初期~中期~後期それぞれに心に残るアルバムが数多くあるがサラ30台のエマーシ―時代に最も親近感を覚える、アルバムでいえば"NO COUNT SARAH","SWINGIN' EASY"前者はカウント・ベイシーが抜けたオーケストラ、後者はジョン・マラカイ~ジョー・ベンジャミン~ロイ・ヘインズのトリオ。

         



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