男性ボーカルの魅力
人気薄の男性ボーカルは中古レコード店でもその傾向が顕著に現れており、いつも店の片隅に追いやられている気がするでもない。ジャズシーンは、以前より器楽中心、女性ボーカル偏重と言う傾向があり、男性ボーカルはおざなりにされていた様にも思われる。
一見、人材に乏しいく層が薄い分野と思われがちであるが、堀りおこしてみると器楽に劣らず宝の山ではある。
皆様を男性ボーカルの世界に誘う魅力のあるシンガー達をピックアップしてみました。何と言ってもシナトラである。ネルソン・リドルとのコラボレーションは、言わずもがなビリー・メイとの「カム・フライ・ウィズ・ミー」、J・V・ヒューゼンの標題曲が圧倒的によく、加えて広がりをもった選曲の妙。リプリーズ入りしてから、世評では今一と言われているが、第一作「リンガ・ディン・ディン」以下こちらも素晴らしい。
このシナトラ第一の後継者が、フランキー・ランドール。近年シナトラをトリビュートした、往年のスコアーを使いフルバンドで唄っているコンサートは大好評とのニュースがある。十代後半の初アルバム、ルーレット「リラキシン・チコ・ランドール」を皮切りに60年代RCAに5枚のアルバムは、一枚を除いてどれも秀逸、中でも「アイ・リメンバー・ユー」は、フランク・ハンターの好バックを得ての代表作の一枚。
ジョニー・ハートマンの渋いのども大変魅力的。コルトレーンとの共演で一躍有名になったが、ABC盤「アンフォー・ゲッタブル」が何と言っても私は好きである。ジェラルド・ウイルソンのひかえ目なオーケストラをバックに男の哀愁とダンディズムを表現してあまりある。
ギターの弾き語り、エディー・ヘイゼルを初めて聴いたときは驚いた。ギターとユニゾンでのスキャットや歌唱が何ともスリルに富みジャージー、躍動感溢れたボーカルやギターがライブでより生彩を増す。ほとんどがライブアルバムと言うのもうなずける。
同じくギターを弾くフランク・ドローン名前からしてカッコイイが唄はもっと素晴らしく、マーキュリー盤「シングス」、ライブアルバム同「イン・パーソン」,カデットレーベルよりリチャード・エバンスのヴィヴィットなバックを得てはつらつと唄うアルバム「ブラッド・ニュー・モーニング」が素晴らしい。84年にサファイアレーベルから素晴らしいアルバムがリリースされた。「ディス・イズ・ラブ・ディス・イット」ギタープレイも聴かれ、相変わらず地元シカゴで健在ぶりをみせていうる。尚、このアルバムのプロデュースはバディ・グレコで、フランク・ドローンは、このグレコのスタイルによく似ている。より洗練されたのがフランク・ドローンだと言えるのではないだろうか。
さて、そのバディ・グレコも大変好きな歌手た。声量豊かでドスのきいた声からスケールの大きな歌唱に圧倒される。弾き語りライブでのエピック盤「マイ・バディ」、バラード主体の中スインギーな“バイ・マイ・セルフ”の魅力にハットさせられる。同、「ソングス・フォー・スインギング・オブ・ルーザーズ」の二枚が特にお奨めだ。
そして、ジャッキー・パリス、バップの体験を踏まえた真のジャズボーカリストと呼べる数少ない一人だろう。素晴らしいスキャットが聴けるドナルド・バードとジジ・グライスの双頭コンボ、ジャズラブのコロンビア盤「モダン・ジャズ・パースペクティブ」、代表作イースト・ウエスト盤「サウンド・オブ・ジャッキー・パリス」、バラード中心のアルバムでパリスの歌唱力の凄さが垣間見える秀作「スカイラーク」、際立ったギタープレイが楽しいインパレス盤「ソング・イズ・パリス」。
その他、アル・ヒブラー、ジョー・ウイリアムス、アル・コールマン、O・C・スミス、マイク・マーフィー、ビル・ヘンダーソンと上げたら枚挙にいとわないのである。まさに、鉱脈を探り当てた様に、ワクワクした気持ちになってくる。以上、私の好きな7人の男性ボーカリストを駆け足で紹介してきました。貴方にとって新しい出会いになってくだされば幸いです。