ウイルソン・ベネッシュ ACT1/RC+ACT2

プロフィール
ウイルソン・ベネッシユはイギリスの新進メーカーで設立は1989年。その第一作がこのプレーヤーなのだが、といって同社をプレーヤーメーカーと、思い込むのは間違いのようだ。というのもそれに続き、本格的なスピーカーシステムもすでに発表しているからである。すなわち当初から一つのジャンルを担うのではなく、オーディオ機器のあらゆるジャンルに、先端技術を駆使した独自の発想による高性能機器を送り出すことが目的のようだ。なお、組み合わされたアームACT2は、同社アームとしてはより高性能を狙った2作目のものであるらしい。前記したスピーカーを含めて、同社が先端技術として目下追求しているのは、素材としてのカーボンファイバーの応用にある。プレーヤーではフローティングされたサブシャーシーがカーボンファイバー製で、アームもユニークな形状のテーパードパイプが極薄のカーボンファイバー製であるなと、従来の常識を脱した斬新な設計に見られる。
 (柳沢 Stereo Sound別冊アナログバイブルより)

針を下ろした瞬間にわかる、過渡特性のよさ。弦を、漆のような艶やかさと品格のある音色で再現し伴奏のピアノも鳴りが重すぎず深く豊潤に響かせる。
 イギリスのニューブランドの登場の本機は、同社のACT2というアームを組み合わせているが、プレーヤーよりむしろこのアームに特徴があるといった感じ。したがって多分このアームのなせるところと思うが、針を下ろした瞬間、盤質がよくなったかと思うほど楽音以前の針音に過渡特性のよさを感じさせる。勿論システム全体として相当に敏感な印象で、その敏感さで音楽を生き生きと再現するのがいい。敏感と言っても神経質に細部を目立たせたりするのではなく、反応のよさが「クロイツエル・ソナタ」の弦を漆のような艶やかさと品格のある音色で再現するし、伴奏のピアノも鳴りが重すぎず角張らず、深く豊潤に響かせる。さらに「トスカ」もいい。巡礼僧のざわめきに重なる聖歌隊のコーラスが、誇張なく分離して空間を拡大するし、オーケストラも鳴りが深く、グランカッサは輪郭をしっかり保ちながら余韻に不足がない。当然「ベラフォンテ」のライヴ感は見事、空間のS/N比がよく、こんな古い録音で・・・・・・と思うようなライブの気配や、音像に遠近感があり、声の肉声感も心地いいものだった。逆にモノーラルの「エラ&ルイ」では、その録音の古さのイメージのなかでの二人の声やバックの音質表現が的確。さらに「ロリンズ」では、サックスのリードの具合までわからせるように繊細なタッチを聴かせる。さらにギター、ベースとの重奏効果も美しいものだし、シンバルのスティックワークも反応がいい。ただこの曲のイメージとしては、音色がやや軽快でリズミカルすぎる印象があった。また本機には、ユニークな構造と形の専用スタンドも用意されていて、ぜひこれを兼用したい気分を誘うのだが、その場合にも音質そのものが大きく変化するものではなかった。ただ気のせいか反応がより敏感になりS/N比が向上したようにも感じさせるところがあった。
 柳沢巧力(Stero Sound別冊アナログバイブル)より


筆致の鋭利な研ぎ澄まされた描写を聴かせる。「ロリンズ」は低域のボトムエンドの表現がよく掴めシンバルの芯が明確かつ余韻が散乱する感じも素晴らしい。
 軽くて剛性の強いカーボンファイバーをプレーヤー周りに大胆に導入したのがウイルソン・ベネッシュだ。とくにトーンアームの過激なフォルムには驚かされるが、カーボンファイバー独特の模様と相まって一種の凄さを感じさせる。プレーヤー本体にもサブシャーシー部分にカーボンファイバーを使用。フローティング方式だが、サスペンションはスプリングによる平凡な懸架式である。システム価格に占めるトーンアームの比重の大きさにメーカーのこだわりが窺われる。「クロイッエル・ソナタ」は、筆致の鋭利な磨ぎ澄まされた描写を聴かせる。「トスカ」は温度感こそわずかにクールだが、反応が速くテンションの効いた、ダイナミックな描写を行う。歌手の音像が立体的で、そのやりとりが、生々しく展開される。「ベラフォンテ」の声はややあっさりしているものの純度が高い。空間の透明感が増した感じで、バックのコーラスなどもきれいに分解して聴かせる。また「エラ&ルイ」の掛け合いも黒っぽいフィーリングはやや薄れるが、快調な描写だ。「ロリンズ」は、ややブーミーに録音された低域のボトムエンドの表情がよく掴めるのには驚かされた。シンバルの芯が明確でありながら余韻が散乱する感じも素晴らしい。しいて言えばこれにもう少しこってりした味がつけば最高だ。とにかく情報量の多い精緻な再現力は驚嘆に値する。ここまで潜在能力を引き出されればMCローマンも本望であろう。カーボンファイバーとガラスの組み合わせた専用スタンドを用いると、現代の先端を行くような本機の音質傾向はいっそう尖鋭化される。再生音に良い意味での緊迫感が増し、曖昧さが払拭されて、透明な音場に純粋性を感じさせる音像の立体像が現われる。これぞ過去のアナログでは得がたい世界。こういう音を聴いていて最も驚くのは、今のCDが最高だと信じている人に違いない。スーパーCDはこれを超えてるものだと期待したいのだが・・・・。
 朝沼予史宏(Stero Sound 別冊アナログバイブルより)

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